法定相続と相続人
相続が発生し、被相続人が遺言書を作っていなかった場合、一般的には、法律で定められた相続分に従う「法定相続」か、あるいは相続人全員で話し合って遺産の分け方を決める「遺産分割」により相続の手続を選択することになります
遺言書がある場合は、遺言書の内容を優先します。
法定相続人の順位ならびに割合
法定相続の順位分割は以下のように決められています。
順 位 | 法定相続人 | 割合 |
1 | 子と配偶者 | 子=1/2 配偶者=1/2 |
2 | 直系尊属と配偶者 | 直系尊属=1/3 配偶者=2/3 |
3 | 兄弟姉妹と配偶者 | 兄弟姉妹=1/4 配偶者=3/4 |
■配偶者は常に相続人となります。
■直系尊属は、子がいない場合の相続人となります。
■兄弟姉妹は、子と直系尊属がいない場合の相続人となります。
相続人調査
相続人は大きな財産を手にすることもありますので、今まで会ったこと人が相続人として突然現れたり、相続人としての権利がない人が主張するということも相続においてはよくあるケースです。
相続人を正しく把握するための相続人調査時の流れ
1)亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」等を出生から死亡まで全て取得します。
2)通常、この段階で両親と子供、配偶者が確認できます。
3)子供(代襲者を含む)がいない場合は、両親を初めとする直系尊属が相続人になりますので、必要に応じて戸除籍謄本を取得します。
4)直系尊属が全員亡くなっている場合は、兄弟姉妹の戸除籍謄本も取り寄せて調査します。
相続人調査でよく発生するのは、相続人の人数が当初の想定より遥かに多かったり、聞いたこともない名前が出てくるといったケースです。
このように相続人調査が正確でなかった場合、後から本来の相続人が出て来て、相続人としての権利を主張し、遺産分割協議がまとまらないこともあります。
相続人の数が増えてくると、財産を相続する上でこじれると訴訟に繋がることもあり、そうなってしまうと非常に解決までの時間とお金が必要になります。
相続人は全国各地にお住まいの場合も多く、連絡がなかなか取れないという事も最近はよくありますし、場合によっては海外にいらっしゃることも考えられます。
相続発生直後に、全ての相続人の戸籍を集める作業も、かなりの負担です。
法定相続人と相続人
遺言書がある場合の相続
被相続人による遺言書が残されている場合、原則としてその内容が法定相続人よりも優先されることが定められています。
法定相続分と指定相続分の違い
法定相続人が複数いる場合に相続人が相続する遺産の割合は、被相続人が特に何も指定していなければ民法で定められた法定相続分によって決められます。一方、遺言書による相続の割合は被相続人が自由に決めることが可能です。これを指定相続分といいます。
遺言書の内容は法定相続よりも優先される
被相続人は、生前に遺言書を作成することで財産分与の方法を自由に決めることが可能です。遺言書の内容は原則として法定相続より優先されるため、遺産相続では被相続人による遺言書があるかどうかが遺産分割においてポイントとなります。
遺留分は侵害されない
被相続人の意志を尊重する一方で、特定の相続人にだけ有利になることがないよう、民法では相続人が最低限譲り受けられる遺留分を保障しています。ただし、遺留分が保障されているのは配偶者および第1順位の子、第2順位の親までで兄弟姉妹には認められていません。